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アーツアライブは、アートが全ての人々の生活の一部となるように、
アートを通して人々に喜びと生きる活力を与えます。

竹の動くオブジェ

末松歩 児玉美保 中島久美子 戸塚碧「竹の動くオブジェ」
2002年8月25日~30日 百恵の郷
作品名:竹の動くオブジェ
製作者:末松歩 児玉美保 中島久美子 戸塚碧
実地場所: 百恵の郷
実地期間:2002/08/25-30

■作品説明

施設のある芝川町は 竹の産地なのでそれを使った動くオブジェの制作を企画した。 自分たちで用意した竹と百恵の郷の近くで刈ってきていただいた竹で、風が吹くと動いて竹の音が鳴る風車を組み合わせた風で動くオブジェを制作、庭に設置した。オブジェの一部には入居者の方とコミュニケーションをとりながら、また、一緒に描いた絵を取り入れた。大きなブルーシートを広げたところでの公開制作だったので、多くの方が関心を持って、様子を見にきたり、また制作を手伝ってくれた。

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■プロジェクト後の感想

末松 歩
このプロジェクトに参加する前から、卒業後や将来のことを考える時に、ストレートに彫刻だけをやるのではなく「彫刻」や「彫刻をやっていること」を道具として、何か別の事ができたらという思いがありました。 一番最初に捨てられ、一番最後に拾われるのがアートだと言われます。 野外彫刻が流行った時に、街中に大きなオブジェが数多く建てられていましたが、その中に一体いくつのものが人々の印象に残り続けると言うのでしょう。彫刻なんてそんな物なんじゃないかと思っていました。 でも、今回のプロジェクトに参加して自らが関わっている「彫刻」や「アート」への見方が少し変わりました。 1週間、泊まりこみでの(おじいさん、おばあさんも含めた)共同生活は、人を相手にすること、人との会話から作品の形がどんどん変わっていくこと、その変化を喜んでくれるということ。アトリエで一人で閉じこもって作るのとは全く異なった制作風景で、私にとっては、とても新鮮でした。最初は遠巻きに見ていたおじさん、おばさんも筆を持ち出すとすぐに寄って来て、私達をみてもどこかしく思ったのでしょう、道具の指導までして下さいました。 私達のグループには美大以外の大学からのの参加もあり、彼女が「5年ぶりに絵を描いた」と嬉しそうにしていたのも新鮮でした。人間ってもともと何かを作ることに対して、喜びを感じるようにできているんじゃないかとさえ思います。単純に「美術すること」は「楽しいこと」なのだと。 そのお手伝いができて、私もいい経験になってし、本当によかったと思います。 協力して下さったおじいさん、おばあさん、施設の方々に厚くお礼申し上げます。

児玉 美保
百恵の郷は、とても良心的な施設でした。とても、リラックスして、触れ合うこと、作業が出来たと思います。 デイサービスを利用しているおじいちゃんの中に、昔、大工をやっていた方がいらして、道具についての豆知識や竹の扱い方のアドバイスを受けたり、毎日顔を出しに来てくれるおばあちゃんは、自分が、立てるようになるまでどれだけの努力をせたか、話してくださいました。 娘さんのこと、孫のこと、昔のこと、今のこと、さらには、食事の作り方、今まで、どんな作品を作ってくれた、どんな人達がいたのか、今日は富士山が見えるか、風車の先に、大豆をふやかしてつけるといいとか、もう、思い出したら切りが無いほど。 その中で、多くの方が感じていると思われたことがありました。 当時は、生きるために、やらなければいけない事がたくさんあって、中には、読み書きをする暇もなかった方もいらっしゃった。東京から来た、土もろくにたがやしたこともない女の子達が、男がやるような事をやっている。 時代も変わった。 そんな違和感は「随分、ハイカラな事」という言葉で表現されていたとおもいます。 私達は、この豊かな時代に生まれ、芸術を志すことを許されている。しかし、まだ人は満たされず、求めていて、それでも、何を求めているのか良く解らなくなっているきがします。 この1週間で人の暖かさや大きな自然、多くの知恵にふれたこと。友達と一緒に作品を作った事それによって思ったこと考えた事をこれからに繋げていけたら良いと思います。

戸塚 碧
5年ぶりに絵を描いたりしたけれど、すごく楽しく過ごせた。合宿が終わってからもまた絵が描きたいな、と思えた。おばあちゃんたちとも徐々に打ち解けられてよかった。話がスムースにできるようになっていくのが嬉しかった。また、介助の仕事にも興味がもてた。自分が年をとることについても考えられてよかった。自然にたくさん触れられたのもいい経験になった。また遊びに行きたいです。

中島 久美子
アートプロジェクトに参加できて良かった。 百恵の郷はきれいでごはんはおいしく、天気がいいと毎朝大きく富士山が見えた不自由なことはなかった。老人福祉施設での生活は想像がつかったが、下見で明るくきれいな所なのは見ていたので不安はあまりなかった。 実際はじめは百恵の郷に住むおじいさんおばあさん達にどう接したらいいか戸惑った。けれど、何人か積極的に私達に話しかけてくれて 本当のおじいちゃんおばあちゃんのようにお菓子やご飯のおかずまでなんでも私たちにくれようとした。遠くで見ているだけの人たちも私たちがいることをとても意識しているようだった。何ができるのかすごく興味を持ってくれた。作業の合間に似顔絵をいたに描いたりした。 あるおばあちゃんがサザンカの花が好きだと言うので絵の具で描いたらコスモスになってしまった。自分ではかなり不満だったが、上手だと誉めてくれた。すごく大切そうに持って私がその場から立ち去ってもずっと笑顔だった。 本当に何枚でも描いてあげたかった。普段彫刻の作品を作っていて自分の気持ちだけが全てだった。 今 回もここで生活する前までは作ることが目的と考えていたけれど、だんだんつくることをきっかけにその過程で、ここに住む人達がいつもと違った空間に興味を持ってくれたらいいと思うようになった。 アートと呼べるのか分からないけれど、自分たちが作る事によって人の役に立つとうのはとても素敵なことで、今回いい経験になりました。こんな機会を与えてもらい感謝しています。ありがとうございました。また参加したいです。


by artsalive | 2002-08-30 12:05 | アートワークショップ