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アーツアライブは、アートが全ての人々の生活の一部となるように、
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The Creative Age:Global Perspectives on Creativity and Aging

米国ワシントンDCで開催された 創造的加齢と題する国際会議に出席、2つのパネルで登壇しました。
主催は、NCCA (National Center for Creative Aging) で、私は、2年前からここの国際フェローになっています。

日時: 2016年9月24日から 27日
場所: Newseum、ワシントンDC 米国
概要: 世界17か国より 高齢化社会における芸術プログラムの企画、実施、研究に携わっている芸術団体関係者、政府機関担当者、大学研究者、企業人、アーティスト350名が参加。

    オランダハーグ市の副市長、ノースウエスタン大学のNina Claus教授の基調講演が印象に残った。オランダでは、独居の高齢者が多く、孤独が最大の課題とのこと、日本と異なりAGESMという高齢者を役に立たない存在として軽蔑する傾向があるので、EUは、高齢者に優しい地域作りに取り組んでいるとのこと。また、高齢者のボランティア活動の促進もロンドンオリンピックを機会に政府主導で推進しているとのこと
    Clause教授は、音楽の演奏が脳の老化に抗する機能を持つことを研究で証明している。幼児期に音楽をある期間学んでいた人は高齢化しても比較的脳が若く、90過ぎのプロのジャズミュージシャンに至っては脳はほとんど老化していないそうである。また、バイリンガルの人の脳は5歳若いそうである。
    他に、世代間交流の舞台作りの事例や 台湾の高齢者対象の演劇とアート創作の活動のプレゼンがあったが、同じアジアの国である台湾がアーツアライブ同様に米国発のプログラムを台湾に導入し、大きく発展させていることを知り、大きな刺激を受けた。彼らは、企業のバックアップを受けているので機動力が違うと感じた。 
   今回の主催者であるNCCA(National Center for Creative Aging)の創設者であるパールステイン女史の創立時の話で、最初に全米を回って誰がどんな活動をしているのか調べ、それからネットワークを作ったという設立当初の苦労話があったが、設立から10年でここまでの組織にしたことはすごい。台湾の代表者とも、アジアにもNCCAのようなCreative Agingを推進するネットワークを作ろうという話になった。いつか、こんな会議が日本でも開催するのが夢だ。

   同じ時間帯に5つから7つの分科会が設定されていて、また、私自身2つのセッションに登壇したので、他者のプレゼンを聞ける時間は限られていた。それでも、世界にこれだけの人たちが高齢者のための芸術活動をしていると思うと多いに勇気づけられた。 ネットワークの場としては、最高の機会であった、
      
会場は、ナショナルギャラリーの真ん前に位置する NEWSEUMというニュース、報道の博物館のコンベンションセンター。建物のファサードには、表現の自由について書かれた The First Amendmentの条文が刻まれている。

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ガラス窓の向こうに見えるのは、米国国会議事堂。 逆光ですが、セッションの合間には、様々なパフォーマンスが行われました。 椅子に座りっぱなしなので、立ち上がって手足を動かすダンスセッションもありました。
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私が参加したパネルの一つ、「International Perspectives on Museum Programming for Older Adults: Focus on People with Dementia and their Caregivers」(高齢者の為の博物館プログラム国際的視点から:認知症とその介護者に焦点あてて)のパネル仲間と 記念撮影。 左から、米国、台湾、メキシコ、日本、イタリア、アイルランドの美術館で 認知症高齢者と介護者の為のプログラムを企画、実践している専門家です。それぞれの国では孤軍奮闘の私たちですが、同じ目的を共有する仲間が世界中にいると思うとホントに心強いです。アクセスの問題、エデュケーターの育成など共通の課題も多かったです。 登壇したもう一つのパネルは「Caring Museum」こちらも、やはり、美術館と認知症に関するパネルでしたが、パネリストは、アーツフィラデルフィアの代表と オーストラリアの研究者で、同名の著書の編集者と、神経科学の医者で世代間交流学校の創立者であるwhitehouse教授がモデレーターでした。こちらのパネルでは、高齢化社会において美術館、博物館はどうあるべきか、また遠隔技術によるプログラム実施など未来の可能性についての議論をしました。

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番外編: Newseumの内部。全館に渡って、ベルリンの壁、)、9.11、世界の紛争の報道等、ニュースをテーマにした展示があるが、時期柄、米国大統領選挙の展示コーナーも設けられていた。

by artsalive | 2016-10-21 01:00 | 研究