人気ブログランキング | 話題のタグを見る

アーツアライブは、アートが全ての人々の生活の一部となるように、
アートを通して人々に喜びと生きる活力を与えます。

アーツアライブ代表 林氏より

8月27日夜10時にパークサイドを出発して28日朝 気仙沼の老人介護施設「はまなすの丘」に着き、午前中 、午後 2つの
T−シャツワークショップを実施しました。 午前中は仮設に住まわれている方11名と 学童保育の子どもと先生7名の18名、
午後は、デイサービスの方38名が参加されました。 2時間という限られた時間のなかで皆さん
それぞれ学生ボランティアと一緒に世界に一つだけのT−シャツを作りました。お年寄りも誰も途中で投げ出すことがなく、2時間で最後まで完成させることができました。車中泊一泊の計30時間の弾丸ツアーでしたので私は流石に身体にこたえましたが、若い学生も疲れたことと思います。一人一人本当によくやってくれました。
3時半に現地を出て、途中、食事をする時間もなく、同日中に帰るために、夕食はバスの中でのお弁当。
東京に戻ったのは夜11時を過ぎたため、バスは、国分寺まで行ってもらい(国分寺に住んでいる学生がほとんどでした)、そこでの解散としました。
学生は特に帰りのバスでは疲れたのか爆睡していましたが、福島あたりを通過しているとき、前が見えないほどの大雨で、私は学生を連れていることもあり、始終緊張して
ほとんど眠れませんでした。

何より、参加された皆さんの笑顔をたくさん見れたことが何より嬉しかった。東京から 徹夜でバスで来て
ワークショップが終わるやいなや帰路に着いたのですが、職員の方も含め参加された方は皆とても喜んで、感謝してくださいました。

人により好みは違うので予め、西形さん、白濱さん、それから学生たちと多様なデザインのステンシル(型紙)を数十種類も作って持っていったので
色んな好みに対応するデザインがあって、良かったと思いました。子どもが喜ぶなら、と学生が作成したポケモンや
ハローキティのステンシルを子どもは喜んだし、また、KESENUMAのロゴも、大人ばかりか、小学生も好んで使っていました。
西形さんの考案で、好きな数字や思い出の数字をステンシルしてもらったのですが、参加された何人かは、3.11という数字を選んだのには、驚きました。本当は忘れたいけど、忘れることもできない日。その現実に立ち向かう姿がそこにはありました。彼らの元気のよさ、明るさに私たちの方が元気づけられるようでした。

学生が気づいて
宮城県のマークのアイロンアップリケも作ったのですが、お年寄りどころか、小学生までもが宮城県のマークを自分のT−シャツにつけたいというのを聞いて
驚きました。 このようなことがあったから 余計地元に対する思いが強くなったのだとか。

また、高齢の女性でヘリコプターの柄を選んだ方がいたので、話をすると孫が気仙沼消防隊の隊員でヘリコプターに乗っていたがヘリコプターが津波で流されたと言っていました。
お孫さんは無事だったとのことで、Tシャツはそのお孫さんにプレゼントするのだということで 一生懸命に製作しておられました。
職員の方も 忙しい合間を縫って何人か参加してくださったのも嬉しかったです。職員の方も6名が家を津波で流されて今は仮設から通勤されているとのことでした。

仮設住宅にお住まいの方、と被災された職員の方に、Arts Aliveからお土産として 日焼け止めクリームと 虫除けスプレー30個を贈呈させていただきました。 また、学生も自分なりに募金3万円を集め、そのお金で
生活に彩りを添える女の子らしい多様な生活雑貨を買ってきたのでそれを 仮設21世帯ブンに分けて 仮設に押すまいの職員の方の助けを借りて
WSの開始前に仮設の住宅一軒一軒に 配らせていただきました。

何より印象に残ったのは、被災された皆様の思いのほかの明るさと笑顔でした。何より私たちが元気づけられました。
それと同時に、3回も抽選に落ちて未だに仮設に入れず避難所に生活をしている小学生の女の子の暗さも心に残りました。
未だに 避難所暮らしなんで酷いと想います。

バスに乗り込む直前まで 学生たちは、お年寄りと話をしていました。 お年寄りもバスに向かって手を振ってくれました。
プロジェクトはできたものの、もっとお話をする時間があれば、良かったなと思いますが、東京に戻らなければならないので、皆名残惜しかったと思います。
もし、次回またこのような機会があれば、今度は相談室で雑魚ねでもいいので、はまなすの丘に一泊させていただければと思いました。
参加された小学校の先生は、このようなプロジェクトを小中学校でも実施できたら、と言っていましたので、
泊りがけなら 3つ、4つのWSが できます。また、お年寄りと学生の交流の時間ももっと持てます。

震災から4ヶ月半たったとはいえ、まだまだ復興には程遠い気仙沼。これからますます心のケアが大事になると思います。
Arts Aliveとしても、皆さんのご期待に沿えるように 学生の休みの期間に第2弾、3弾と アートワークショップを実施できたらと思っています。
今回のような大規模WSは学生の応援なしに成立しません。作家と私だけならあのようなにぎやかな雰囲気にはならないでしょう。若い人のパワーは凄いです。短い時間ながら、2人の高齢者に学生一人が着いたので、短い時間ながら一人一人と蜜な交流ができたと感じています。

あとがき

尚、帰宅後、ボランティア参加した一名の学生から以下のメールが届いた。
Arts
Aliveが普段から大事にしていること。それは、高齢者施設にいっても、障害児の施設でも、児童養護施設でも認知症の方が対象でも、アートを介して、作家とボランティア、参加者すべてが対等な立場で
コミュニケーションするということだが、今回は、被災者に対する支援ではなく、いつもの自然体で、ひと時でも純粋に楽しいときを過ごしてもらいたいという思いだったが、参加した学生もそれを感じ取ってくれていた。被災者である前に、先入観をもたずに
私達と同じ一人の人間として接すること。彼らもそれを望んでいるであろうこと。
これは、これからのプロジェクト継続においても、重要なことだと改めて思った。

以下引用

被災者の方へのボランティアでよく耳にするのは、親切の押し売りだったり
「可哀想」と思いながら支援されることが嫌だという声だったりと、
支援する側が相手のことを本当に考えきれていないために起こる失敗です。
しかし被災地へ行っても、そこに何が来て、何が起きて、どうなってしまったのか、
この目で実際に見た私自身ですらそれを完璧には想像しきれないのだから
実際に被害にあってしまった方の本当の気持ちを汲みきれることはないと思います。
私にとって今回はそう思いながらの、恐る恐るのワークショップでした。
実際、今の「被災地」に本当に必要だったのか、ありがたいものだったのかは
私には最後まで確信を持つことができませんでした。
ただ、Tシャツづくりという、被災地でなくてもどこの誰であっても単純に
楽しめるワークショップを行ったことで、皆さんが「被災地の人」としてではなく、
いち個人として純粋に楽しんでくれた笑顔を見ることができました。
震災から4ヶ月が経ち、まだまだ「被災地」として扱い、復興・支援を
行うことはもちろん不可欠ですが、彼らは「被災者」でありながらも
「ひとりの人」であるのだと強く感じました。
そして、特にアートという領域は、単純に「被災地」「被災者」への復興・支援
という所でなく「ひとりの人」と向き合っていってあげられる存在なのではないかと思います。

吉田恵理
by artsalive | 2011-08-12 12:46